遮光器土偶は青森県の亀ヶ岡で発掘された。
制作年代は紀元前2000年〜500年とされている。
“遮光”というのは、文字通り“光を遮断する”という意味で、別名 “サングラスをかけた土偶”として有名である。遮光器土偶は、おもに縄文時代の終わり(晩期)に東北地方北部、特に青森県と岩手県で生み出されたもので、縄文晩期の約600年を通じて少しずつデザインを変化しながら作り続けられていたようだ。
遮光器土偶の大きな特徴は、目が顔の大半を占めているのに対し、鼻がないことである。体は左右対称の文様で全面に渡って覆われており、胸には半球形の乳房が貼り付けられている。肩が張り、腕は短く逆円錐形で、指は3本しかない。
土偶の中でも大型のものは中身が無く中空となっている。大型の土偶を板状にして焼くと、ヒビ割れが生じやすくなるため中空にしたと考えられている。
土偶の割れ目を観察すると、首や腕、足の部分で接合していることがわかる。
土偶の表面には全面に酸化第二鉄を原料とした丹を塗っていた痕跡が残ってる。この土偶はV字形の襟をした上衣を着ているようにも見えるが、土偶の場合服に相当する部分と文様の部分を区別するのが難しく、断定するには至っていない。
このように地味〜な土偶なのだが、大昔にソ連のSF作家のカザンチェフが「機密服を着た宇宙人像ではないか」と憶測したことからオーパーツとして注目されはじめた。カザンチェフは、遮光器土偶の頭上の環状のものは受信用アンテナで、大きな丸い目は風防レンズ、胸の部分の乳房上のものは生命維持装置の調整ダイヤル。膨らんだような服は宇宙服だと指摘し、同時代の他の地方のものと比べても、その造りや技術において群を抜いていると言っている。
古いねぇ〜、まだ残ってんのか。 地味なのに根強いな。
ソ連のSF作家が、パッと見の出まかせ言っただけ。 後生大事に語りつぐほど価値のある説じゃないよ。
この土偶にもオーパーツ情報名物の脚色コピーノイズが起こってて、「ソ連のSF作家アンドレ・カザンチェフが発表した」の部分が、最近では、「旧ソ連の宇宙科学者が論文を発表した」(しかも名前がなくなってる!)に変わっているのを見かけることがある。説明文については、もうもうもう・・・勝手な付け足しが目に余る!妄想がどんどん肥大している。
たとえばこんなかんじ。
「この土偶のゴーグル部分は、宇宙空間で太陽の光から目を守るためのものだ。NASAの開発した宇宙服も、
顔の前面に遮光用のフィルタがついている。(←これが論拠?)
また口にあるのは、呼吸器だろう。手足の稼動部はジョイントらしきものがちゃんと表現されている。(←“らしきもの”って言葉は、“ちゃんと”表現されていないものを指す時に使う言葉じゃないか?)想像で造ったというよりは、見たままを造ったと考えたほうが妥当なように思える。」
微妙に内容が変化しましたね。
ちょっと調べてみましたが、NASAの開発した遮光用フィルターって、これ?→
のことですよね。(この説は1960年代の説だから、アポロ時代のでいいでしょ)
まぁ、たしかに「遮光」って言葉は一緒かもしれませんが、
形は似ても似つかないんすけどね。 見たままを言うと、こうなるよ。そこは意図的に無視したと考えたほうが妥当なように思える。それにこれ、「顔の前面に」っていうより、「顔の全面を」覆ってない?
「似てる」「似てる」っていうわりには、基準が怪しすぎやしませんか。
「宇宙人だ」を前提にして、一人で自問自答して、一人で「うんうん」納得して、「ほらね。やっぱり宇宙人だ」って、いつものヤツです。
おかげで「思い込みと帳尻合わせの過程」は理解できましたが、何一つ立証されていないのは言わずもがなということで。
・・・まぁ、いつものことですが。
しかも、妄想の伝言ゲームで、もっと脚色が進んでしまったバージョンがある。
それはこんなかんじ。
「この土偶の着衣は、ソ連の宇宙服と完璧なまでにピッタリと一致する。当時、ソ連の宇宙技術は最先端で、宇宙服とあまりにもそっくりだったので驚いたのだろう。(←なんか変な文章) この土偶は、宇宙服をモデルに古代人が作ったとしか考えられないという。非常に大胆な説だが、これには説得力があった。宇宙服として見るとすべてが説明できるからだ。
全体が分厚い機密性のあるものでしっかりガードされ、胸にはプロテクターがあり、心臓をしっかりと保護している。大きな目に見えるのは、紫外線を遮断するゴーグルだと説明できる。中央の割れ目から開閉できる仕組みになっている。生命維持装置の調整ダイヤルやコードがあり、口には呼吸フィルターもある。さらに頭と胴体はリベットのようなもので連結され、手には厚手の手袋までしており、体の着衣と連結されている。」
これ↑ほんとに実物見て書いた文章なんでしょうか?? だって・・・
「分厚い」のは、土偶だからでしょ。
「機密性があるもの」?もしもしー?これ、土の焼き物なんですけど?粘土細工見たことないのかな?
突っ込みどころが多すぎて(太字部分)、全部書けない・・・。
その他、随所に散りばめられた、「あり、」「ある。」「され、」「されている。」「仕組みになっている」・・・。
実際は、「ない」「されてない」「仕組みになってない」・・・が、事実でしょ。
どうしても「あると思いたい」んだったら、書くときは、
「〜のようにも見える」
「〜されているようにも解釈できる」
「仕組みだと思って見ると、そう思えてくる」・・・でしょ。
彼ら不思議営業マンは絶対にこうは書かない。
断定して書いてるから、イッちゃってる人の手記を読まされてるような気分になる。
この文章は、確証のないことをあるように書いてる。
考古学者が「〜が難しく、断定するには至っていない」と言ってるのに比べ、
「見えた」ぐらいで断定してしまう
この人たちって一体・・・。
これは、オーパーツの本の中でも最低の部類に入る、典型的なゴミ本に共通した書き方である。
客観性を持って書かれた、ちゃんとした本も沢山あるのに。
でも、妄想はここで終わりじゃないんだな、これが。・・・この文章は、さらにこう続くのだ。
「この説には世界中が反応した。アメリカの有名なUFO研究家カート・V・サイジングが来日、土偶をあらゆる角度から撮影、徹底的に分析した。それがサイジングレポートと呼ばれるものだ。レポートはNASAに提出され、NASAから返書が届いた。それには驚くべき内容が書かれていた。
『この土偶の着衣に見られる特徴は、現在開発をしているアルミ製宇宙服とまったく同じものだ。(←嘘)
とくに基本的なアイデアやコンセプト、デザインは現在の宇宙服となんら変るところがない』(←妄想)
NASAはこの土偶にヒントを得て、宇宙服をデザインしたといわれている。(←119に電話)
考えてみれば、この土偶は謎だらけだ。3000年前の縄文時代に、なぜこんな着衣が必要だったのだろう。
一つ言えることは、この土偶は、縄文時代には考えられないテクノロジーで作られているということだ。(←脚色)
推定温度90度の温度で連続40時間以上焼かれて、中空形成仕上げになっている。中身は空っぽなのだ。(←そうですが何か?)
さらに、驚くことはカーボン繊維を混ぜ、炭素皮膜処理を施している。
そのため通常の土器に比べて数倍の強度を持つ。(←明らかな虚偽。加工はされているが、カーボンなど使ってない)
相次いで発見された遮光器土偶が3000年前のほぼ完全な形で出土されているのはそのためである。(←虚言。しかしものは言いようだな〜。ほぼ完全な形で出土することは、ごく稀にしかない。教科書に載っているの自体パーツが欠けている)」
ほ〜、この土偶はそんなに謎だらけですか? この土偶の目にまつわる説にはこんなものがあるんですが。
@この土偶は宇宙服でもなんでもなく、大きな目は雪の反射光を遮る北方民族の道具(サングラス説)。
A遮光器を現したのではなく、この時代に流行した目の表現方法にすぎない。(流行説)。
ちなみに、人形(ひとかた)は、もともとは人間の身代わりとして作られた呪術用品だった。
完全な形で出土することが少ない、壊れて出土する遮光土偶も、けがをした部分と同じ場所を壊すことで病気や怪我を肩代わりしてもらうという呪い(まじない)、呪術医で用いられていたといわれている。
※ 遮光器土偶のデザインは一種類ではない。
右の写真の遮光器土偶は、それぞれ体型や着衣のデザインなどが違うものだ。
このように遮光器土偶は、600年の間に様々にアレンジされながら造られてきたものなのだ。
ひとつだけ見てあれこれ言うこと自体ナンセンスなのだと誰でも分かると思う。
(写真:この土偶の方がよっぽど宇宙人くさいと思うのだが・・・→)
遮光器土偶は日本の教科書にも載ってるメジャーな出土品だ。「知られざる遺物」ってわけじゃない。調べる方法はいくらでもあるはずだ。なのに外国のSF作家の一言で、調べもせずに信じるのは、あまりにも人が好すぎる。
私は勉強が苦手だったから、ちゃんと勉強してきた人に比べると、知らないことがものすごく多い。(しかも騙されやすいのだ) だから、「あれ?なんか言ってることに変な飛躍があるぞ」と感じたら、信じる前に、まず本を読んだり、ネットで調べたりするようにしている。
これはとても簡単なことで、たとえばこの土偶の場合は、土偶に対する知識がないから、まずそれらがどういうものなのかを知る。その上で、改めて異説の論拠と整合性について考えてみる。
すると、それらの情報はツギハギで、いい加減なものが多く含まれているのに嫌でも気付くはずだ。
「そんなことはない」と思うなら、それを証明するためにも分け隔てなく調べてみるべきだ。(このページをここまで読んで下さるような方は、すでにそういった探究心を身につけておられる方ではないでしょうか)
「これはスゴイ!」と思っても、「これは眉唾だ」と思っても、まず自分で調べる必要があるのだ。
たとえば“ロザリア・ロンバルド”のように説明のつかない不思議なことは確かにたくさんあるけど、それが作り話だったら何の魅力もない。事実だからこそ魅力があるのだ。
三国志や日本書紀も同じこと。 「えせロマン」などより、色々な説を自分で探す方が興奮するぞ!
この土偶の写真は、歴史の教科書では初めの方でお目にかかるので、ご存知の方も多いと思う。
ちなみに、学生時代勉強がキライだった私は、上にあるようなウンチクを勉強した記憶は全くないが、教科書の中にこの土偶の写真を見つけると、必ず松葉杖を描き加えていたことは憶えている。そういう意味で懐かしい。そのおかげで、写真の印象はよく憶えていた。目の部分については、サングラスやゴーグルだと思ってみたことは一度もない。
私は単に、「はれぼったい目」、「眠そうな目」だと思っていた。
今回もソ連人の呪文で呪いをかけられたハッタリ・オーパーツを供養することができた。 土偶たち、迷わず成仏しろよ。 合掌。
< お
ま け >
『 蔵から見つけたもので最初に目についのがこの土偶である。
土偶とは縄文時代を代表する遺物で、土器が発生する草創期から晩期まで一貫して作られている。
大きさは数センチから40センチまで様々で、20センチ前後のが多い。
土偶のほとんどが女性を表しており、乳房、腹、臀部が強調されていることから生殖を介した繁殖や豊穣を祈って作られ、手足や頭が意図的に破壊されていたり、1つの遺跡から数十個と大量に見つかることから呪術的に使用されたものと考えられている。
表面の文様は従来は呪術的なものとしてあまり評価されなかったが、最近では当時の服装や刺青などを知る手がかりとして注目されている。
目の部分が遮光器(イヌイットが使う雪原での光を弱くするメガネ)に似ている土偶を遮光器土偶または遮光器形土偶と称するがこのように猫の眼の様に縦に線が入ったものはいまだかつて発見されていないはずである。
どこから出土したのか?
何故蔵にあったのか等一切不明で、今後の調査が必要かと思われる。』
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オーパーツをもじった傑作ネタです。すごく良くできているので騙されそうになりますが、本気にしないように!
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※写真&文章引用元: 猫屋由兵衛伝奇考 http://www.choshinet.or.jp/~mauri/denkikou.htm
※写真引用元: いわてまち http://www.town.iwate.iwate.jp/ つがる市 http://www.town.kizukuri.aomori.jp/
NASA http://www.nasa.gov/home/