発見年代 名称 推定年代 特徴
31 1956

アルミニウム製の帯留め 

 中国

AD300頃

精製に大量の電気を使うアルミニウムは、19世紀までなかった。(ファスナーという説もある)

 

「アルミニウム製の帯留め」は、1956年、中国江蘇省にある西晋時代の将軍・周処の墳墓で発見された副葬品である。

(※将軍・周処/265年生−316年没)

 

発見当初、調査を行った中国学院応用物理学研究所と鉄鉱工芸学校は、この金属がアルミニウム85%、マンガン5%、銅10%からなる合金であるという調査結果を発表した。

 

この結果に当時の考古学界は一時騒然となる。

 

アルミニウムは地球上に多く存在する物質の一つだが、極めて酸化しやすい(錆びやすい)物質である。

自然のままのアルミニウムは、通常、岩石に含有されたり他の金属と結合しているのだが、これは他の物質と結合しないと酸化して錆びてしまうため単体では存在できないからだ。

 

そのため、「アルミニウム製の帯留め」を作るには、まず他の物質からアルミニウムだけを分離・抽出しなければならないはずである。しかしその作業には大量の電力が必要なのだ。

現代では大量生産可能となっているアルミニウムだが、アルミニウムが元素記号として発見されたのは1803年

塩素ガスとカリウムを使って分離する還元法が開発されたのは1827年であり、

電気分解による精錬法が開発されたのは1845年以降である。

それ以前に分離に成功したという記録は存在しない。

AD300頃の古代中国人がアルミニウムを保有していたはずがないのだ。

 

当時の中国では、すでに大量の電力を得られるような高度な技術を使っていたのだろうか?

それとも、なにか別の方法でアルミニウムを分離していたのだろうか?

 

「中国には古来から錬丹術の伝統があり、西洋の錬金術とも関係が深いといわれている。

古代に存在した何者かから秘儀的に人工的抽出法を受け継いだ可能性もないとはいえない。」


のっけから言わせてもらうが、そんな可能性はない。

 

なぜなら、これは、『アルミニウムの帯留め』ではないからだ。これの正体は、

『発見当初、「アルミニウム製」だと勘違いされたことがある帯留め』である。

 

発見当初中国学院応用物理学研究所と鉄鉱工芸学校が調査したものに、盗掘時に落とされた/捨てられた現代のモノが混入していたため、当初、『アルミニウム製』だと勘違いされてしまったのだ。

 

はっきり言って、その「勘違い」の経緯を意図的に無視したインチキ情報の中でだけ

オーパーツということになっているワケのわからん代物なのだ。

 

ちなみに発見当初の発表は、その後すぐに撤回されている。

「アルミニウムは混入物であり、実際は銀製であった」と訂正され、

公式発表されている。

 

『アルミニウムの帯留め』にくっつけられたオーパーツ伝説は、確信犯作家たちが

「都合の良い部分だけを切り取って、最後にオカルトっぽい話をくっつければ、何でもオーパーツになる」

というパターンにのっとって紡いだである。デマといってもいいかもしれない。

 

それにしても、公式発表を無視したインチキ説を平然と載せている本の多さはどうだろう。

 

「発見当初の発表で時が止まってしまっている研究家や、

「都合が悪い事実を無視して、“僕は人に夢を与えてるんだ”なんて思ってる研究家

「調査もせずに自分の思い込みを主張する研究家が言いたい放題のインチキ本が野放しになっている。

 

しかも、タイトルに『オーパーツ』とつく本のほとんどは、その手の野放し本なのだ。
くれぐれも気をつけて読んでほしい。

  

※『ムー特別編集事典シリーズ(7) 超文明』は大した脚色もなく、「なぜオーパーツといわれるのか?」が客観的に淡々と

説明されていて、情報も豊富で良い本だと思いますが、『オーパー○の○』というタイトルの本には注意が必要です。

意味のない(おそらくは苦労してひねり出した)脚色が目立ちます。

『アルミニウム製の帯留め』の解説に「現在でも解明に至っていない。」と書かれていたら

間違いなく怪しいです。くれぐれも注意してください。

 

だが、今回もいわれなき伝説をまとわされたオーパーツを供養することができた。誤りの調査結果よ、迷わず成仏しろよ。合掌。

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